「長野県の伝わる工事標示板に対応したいが、何から手をつければいいかわからない」
「進捗ページを毎回手作業で更新するのは負担が大きい」
「現場スタッフはパソコン操作が苦手で、専用システムを使いこなせるか不安」
「QRコードの発行や案件ごとのページ管理を、できるだけ安く済ませたい」
長野県内で公共工事に携わる建設・土木事業者様の中には、このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回、弊社ビルドマーケティング合同会社では、長野県の建設会社である株式会社野沢総合様のご依頼を受け、「伝わる工事標示板」の試行要領に対応したWeb系システムを開発・納品いたしました。
この記事では、その開発事例を設計思想も含めてご紹介します。
長野県「伝わる工事標示板」とは

「伝わる工事標示板」は、長野県が推進している試行的な取り組みです。
工事現場に設置する標示板にQRコードを掲載し、そこから工事の進捗状況や完成予定時期などを公開するWebページへ誘導することが求められています。
現時点では義務ではなく試行の段階ですが、地域住民への情報公開・工事の透明性向上を目的とした制度であり、今後、対象工事や対象地域が広がっていく可能性がある取り組みです。
制度の趣旨自体はシンプルですが、実際に対応しようとすると
「案件ごとにページをどう用意するか」
「QRコードはどう発行するか」
「現場担当者がどうやって更新するか」
といった、運用面の設計が課題になります。
株式会社野沢総合様が抱えていた課題
ご相談をいただいた野沢総合様からは、次のようなご要望をいただきました。
- 工事案件ごとに専用ページとQRコードを、できるだけ手間なく用意したい
- 現場担当者がスマートフォンだけで進捗更新・写真アップロードを完結させたい
- WordPressへのログインなど、専門的な操作を現場に覚えさせたくない
- 案件数が増えても、初期費用・運用費用を抑えつつ長く使える仕組みにしたい
土木工事の現場では、事務所にいる担当者よりも現場のスタッフがスマートフォンで直接情報を更新できることが重要です。
パソコンでの管理画面操作を前提にしたシステムは、結局使われなくなってしまうケースが少なくありません。
また、公共工事は案件数が多く、案件ごとに個別のページを手作業で作成していては、事務負担がかえって増えてしまいます。
「制度対応のために仕事が増える」「案件が増えるたびに費用がかさむ」ことは、野沢総合様が最も避けたい事態でした。
開発したシステムの全体像

これらの課題を踏まえ、弊社では「表示はWordPress、データの実体はGoogleスプレッドシート」という役割分担を軸にしたシステムを設計しました。
全体の構成は以下のとおりです。
| 役割 | 使用technology | 概要 |
|---|---|---|
| 表示層 | WordPress | サブドメイン kouji.nozawasogo.co.jp で公開用ページを運用 |
| データ管理 | Googleスプレッドシート | 案件マスタ・進捗更新履歴を一元管理 |
| 自動化 | Google Apps Script(GAS) | スプレッドシートの更新内容をもとに公開ページを自動更新 |
| 入力 | Googleフォーム3種 | 案件登録/進捗更新/ステータス変更 |
| QRコード生成 | api.qrserver.com | 案件ページごとにQRコードを自動発行 |
WordPressは「表示するだけ」の層に割り切る
今回の設計で最も特徴的なのは、WordPress側には管理項目を増やしていく作りにしなかった点です。
案件データの実体はすべてGoogleスプレッドシート側に持たせ、WordPressは公開用の見た目を整える「表示層」として割り切りました。
これにより、WordPress側の構成をシンプルに保ちながら、データの実体管理はスプレッドシートという使い慣れたツールで完結できます。
プラグインの競合やアップデートによる不具合リスクも抑えられ、長期的な保守性が高まります。
スプレッドシートの更新が、そのまま公開ページに反映される仕組み
案件ごとのページは、以下の流れで自動生成・更新されます。
① 現場担当者がGoogleフォームで案件情報や進捗を入力する
② 入力内容がGoogleスプレッドシートに記録される
③ Google Apps Script(GAS)がスプレッドシートの更新を検知する
④ GASが公開用ページの内容を自動的に書き換える
⑤ 案件ページとQRコードが自動的に生成・更新される
担当者がWordPressの管理画面にログインする必要は一切ありません。
Googleフォームへの入力とスマートフォンでの写真撮影だけで、公開ページの更新まで完結する仕組みです。
案件ごとに1ページへ集約する設計
進捗共有の方法として、SNSやブログで都度投稿していく運用も考えられます。ただしこの方法には、大きな弱点があります。
更新するたびに新しい投稿が増えていくため、1つの案件の情報が複数の投稿にバラバラに分散してしまいます。見る側は「今の進捗はどれ?」「最初の投稿はどこ?」と過去の投稿をさかのぼって探す必要があり、地域住民の方にとってはかえって不便な仕組みになってしまいます。
そこで今回は、案件ごとに1つのページへ情報を集約し、更新のたびに同じページの内容を書き換える設計にしました。
QRコードを読み取れば、常に最新の進捗状況とこれまでの経過が1ページの中で確認できます。投稿を探し回る必要がなく、見る側にとって迷いのない情報公開が実現できます。
一覧ページで施工中・完了を自動分類
案件一覧ページでは、スプレッドシートのステータス情報をもとに施工中・完了を自動で分類表示します。
あわせて進捗率バーもスプレッドシートの更新内容に応じて自動反映されるため、事務所側で個別に一覧を編集する手間は発生しません。
「専用の管理画面を新たに覚える」のではなく、「Googleフォームとスプレッドシートという、すでに使い慣れたツールを入力インターフェースにする」という発想が、今回の設計の核になっています。
導入で得られた効果

今回の開発により、野沢総合様では次のような効果が得られました。
- 案件ごとのページ作成・QRコード発行が自動化され、事務作業がほぼゼロに
- 現場担当者はスマートフォンでフォーム入力するだけで進捗更新が完結
- WordPressへのログインや専用システムの操作教育が不要に
- 1案件1ページに情報が集約され、地域住民の方も迷わず最新状況を確認できる
- 案件数が10件でも100件でも、追加のシステム費用が発生しない
一般的なノーコードシステムや専用の工事管理SaaSでは、案件数や利用ユーザー数に応じて月額費用が段階的に上がっていく料金体系が採用されていることが多く、案件数が多い事業者ほどコスト負担が重くなりがちです。
今回のシステムは、案件データをすべてスプレッドシートの「行」として管理する構成のため、案件数が増えてもコスト構造は変わりません。年間を通じて多くの工事案件を抱える野沢総合様にとって、これは大きなメリットになっています。
今後の展開:長野県内への展開を検討
「伝わる工事標示板」は義務ではなく試行段階の制度ですが、今後、長野県内の公共工事を受注する事業者様にとって、同様の対応ニーズが広がっていくことが予想されます。
弊社では、長野県の入札参加業者名簿をもとに、同様のニーズをお持ちの建設・土木事業者様へのサービス展開を検討しています。
今回のシステムをパッケージ化し、初期費用+月額のモデルでの提供を想定しています。
1社ごとに一からシステムを構築するのではなく、実績のある仕組みをベースにすることで、導入スピードとコストの両方を抑えられます。案件数が増えても月額費用は変わらない料金体系を軸に検討しており、案件数の多い事業者様ほどメリットを感じていただける仕組みを目指しています。
まとめ
今回ご紹介した株式会社野沢総合様の事例は、長野県の「伝わる工事標示板」という制度対応をきっかけに、WordPress・Googleスプレッドシート・Google Apps Scriptを組み合わせて、現場の負担を増やさない形でシステム化した取り組みです。
ポイントは、高機能な専用システムを新たに導入するのではなく、すでに使い慣れたツールを組み合わせて自動化するという発想にあります。
この考え方は、伝わる工事標示板への対応に限らず、案件管理・進捗共有・現場報告など、さまざまな業務の自動化に応用できます。
以下に当てはまる方は、ぜひ一度ご相談ください。
- 長野県の「伝わる工事標示板」への対応方法を検討している
- 案件ごとのページ・QRコード発行を手作業でおこなっており負担になっている
- 現場スタッフがパソコン操作に不慣れで、専用システムの導入に不安がある
- 案件数が増えてもコストが変わらない仕組みを探している
「自社の工事案件でも同様のシステムを導入できるか知りたい」
「まずは概算費用を確認したい」
という方は、現状の運用状況をヒアリングした上で、御社に合った導入方法をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。