
「うちの子、もうすぐ大学…教育資金、これからどう準備しよう?」
そんな悩みを抱える高校生・大学生の親御さんにとって、今、注目すべき制度が新NISAです。
これまで投資に縁がなかった方でも、少額から非課税で資産を育てられる仕組みが整っており、特に“教育費の第二段階”を考える世代にはピッタリの活用法があります。
本記事では、学費支出のタイミングとNISAの使い方をどう設計すべきか、どんな商品が向いているのか、将来の家計に無理なく備える“教育資金の新常識”を解説します。
教育費は「高校卒業後」が本番|親世代が直面するリアル
「高校まで何とかやりくりしてきたけれど、大学からが本番だった――」
そんな声を多く耳にします。実際、教育費の負担は“高校卒業後”から一気に加速します。
📊 大学進学後にかかる費用の現実
文部科学省のデータによると、子ども一人あたりの進学にかかる費用は以下の通りです:
区分 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
入学金・授業料(4年間) | 約250万円 | 約400万円〜600万円 |
自宅外通学(生活費) | 年間100万円〜120万円 | 年間100万円〜120万円 |
📌 合計すると、自宅外で私立大学に通う場合、トータルで800万円近くかかるケースも珍しくありません。
👛 「貯金だけでは足りない…」家庭の実情
- 教育費専用の貯金が間に合わない
- 親の老後資金とバッティングしてしまう
- 下の子の教育費と時期が重なる
このような事情を抱え、「奨学金やローンでの対応」を選ばざるを得ない家庭も少なくありません。
🧠 だからこそ「NISAを教育資金の一部として活用する」という選択肢を
教育費は、「今すぐ」ではなく、「数年後に必要な大きなお金」。
このタイミングを見据えて、今からNISAで少額ずつ育てておくことで、将来の家計負担を分散できます。
次は、その活用法を具体的に見ていきましょう。
新NISAで教育資金を備えるという選択肢
これまで「教育資金=貯金」というイメージが強かった日本の家庭にとって、投資で備えるという発想はまだ一般的ではないかもしれません。
しかし、教育費が必要になるまでに数年の猶予があるなら、「新NISA」を活用した資産形成は非常に有効な選択肢となります。
🏦 新NISAは“教育資金準備”と相性がいい理由
特徴 | 教育費との相性 |
---|---|
利益が非課税 | 運用益がそのまま使えるので効率的 |
途中売却が可能 | 必要なタイミングで取り崩せる |
積立額が自由に変更可 | 家計状況に応じて柔軟に運用可能 |
投資信託中心 | 長期・分散型で教育費の準備に適している |
📌 定期預金よりも増える可能性があり、学費のタイミングに合わせて設計しやすい制度と言えます。
💬 「教育資金に投資なんて危ないのでは?」という不安
たしかに、投資には元本割れリスクがあります。しかし、
- リスクの少ない投資信託を選ぶ
- 3年以上の運用期間を確保する
- 分散投資を心がける
などの工夫をすることで、大きく減るリスクを抑えつつ、預金以上の利回りを狙うことが可能になります。
🧠 “数年後に必要なお金”には「つみたて投資枠」が最適
- 「高校2年から始めて、大学進学時に引き出す」
- 「今は大学1年。2〜3年後の後期学費のために備える」
こうした具体的な“出口(使い道と時期)”がある投資には、つみたて投資枠での計画的運用が特に効果を発揮します。
ジュニアNISAはもう使えない?今できる最善策
かつて教育資金の形成手段として注目された「ジュニアNISA」。
しかし、制度はすでに2023年末で新規受付を終了しており、現在は利用できません。
では、今から教育費を準備するには何が最善なのでしょうか?
📉 ジュニアNISAは終了済み
項目 | 内容 |
---|---|
制度の開始 | 2016年 |
新規口座開設 | 2023年で終了 |
運用期間 | 18歳まで(2024年以降は制限撤廃) |
利用条件 | 親が代理運用。原則、18歳まで払い出し不可(※一部改正あり) |
ジュニアNISAは制度の設計上、「資金拘束」や「柔軟性のなさ」から敬遠されていた側面もありました。
🧭 今は“親名義のNISA”で備えるのが王道
現在の新NISA制度では、子ども名義ではなく「親自身の口座」で教育資金を準備する方が実用的です。
その理由は:
- 🔓 いつでも引き出せる自由度
- 💰 投資枠が拡充(年間最大360万円)されており十分な準備が可能
- 📱 ネット証券なら管理もスムーズ
📌 子どもが大学に入るタイミングに合わせて「つみたて投資枠」で計画的に積み立て、 「成長投資枠」で運用成果を狙う、といったハイブリッド運用も可能です。
👪 「子どもの将来のために」という想いを“数字”に変える方法
教育資金を貯める行動は、親としての思いやりを“具体的な行動”に変える手段です。
🧠 筆者のFPとしての経験からも、「教育資金こそ運用期間が読める理想的な資産形成対象」であると実感しています。
教育費目的におすすめの投資信託とは?
「教育費のために投資信託を選ぶ」といっても、どれを選んでよいかわからない…
という声はとても多く聞かれます。
ここでは、“教育資金に適した条件”を満たす投資信託の特徴と具体例をご紹介します。
教育資金に向いている投資信託の条件
チェックポイント | 理由 |
---|---|
インデックス型(全世界 or 米国) | 値動きが比較的安定しており、実績も豊富 |
信託報酬が低い(年0.2%以下) | 長期運用では手数料差が大きく効く |
価格変動リスクが比較的少ない | 教育費は「確実に使う時期がある」ため |
純資産が大きい・実績がある | 安定性・信頼性の証拠になる |
📌 教育資金には、「短期で倍にする」投資ではなく、「着実に増やす」投資がベストです。
🌟 人気の投資信託例(2025年時点)
ファンド名 | 投資対象 | 信託報酬(年率) | 特徴 |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 全世界 | 約0.05775% | 1本で世界分散が完結。王道の安定型。 |
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 米国 | 約0.0938% | 米国の優良企業500社に連動。成長性◎。 |
たわらノーロード 先進国株式 | 先進国 | 約0.1023% | コストも低く、教育費向けに適した選択肢。 |
🧠 筆者のFP視点でも、「インデックス型+信託報酬の低さ」は鉄板の選び方です。
💬 「元本割れが怖い…」という方へ
教育費目的で投資を始めるなら、以下の2つを守ればリスクは大きく抑えられます:
- 運用期間を3年以上確保すること
- 毎月一定額をコツコツ積み立てる(ドルコスト平均法)
積立スケジュールと取り崩し時期の設計例
教育資金のために新NISAを活用するなら、「いつから積み立て、いつ取り崩すのか?」というスケジュール設計が非常に重要です。
ここでは、具体的なシミュレーションを通じて、教育資金向けNISA運用の現実的なスケジュール感を掴んでいきましょう。
📅 教育資金×NISA活用モデル(高校2年の親がスタート)
項目 | 内容 |
---|---|
現在 | 子ども:高校2年生(16歳) |
大学進学時期 | 約2年後(18歳) |
必要資金の目安 | 約150万円(入学金+初年度学費) |
積立開始 | 今すぐスタート(月3万円) |
積立期間 | 24か月 |
想定利回り | 年利3〜4%(控えめ設定) |
運用益込み想定額 | 約75万円+数万円の利回り |
📌 足りない分は貯金・奨学金・学資保険などと組み合わせる想定。
📌 「第1学年の学費負担」には十分貢献できる設計。
💡 積立設計のコツは「2〜3年前倒しで始める」
開始時期 | 目安 |
---|---|
中学生の親 | 大学入学時までに5年以上確保 → 月1〜2万円でOK |
高校1年の親 | 約3年で積立 → 月2〜3万円必要 |
高校3年 or 大学在学中の親 | 取り崩しを意識しつつ「成長投資枠+現金化」も検討 |
🧠 ポイントは「使う時期が明確=逆算できる」という教育費の特徴を活かすこと。
🔁 取り崩しのタイミングと注意点
- 🟢 非課税期間中(5年 or 期間制限なし)に取り崩してもOK
- 🟡 成長投資枠の場合は価格変動リスクに注意
- 🔄 複数年にわけて少しずつ売却するのも◎(学年ごとの支出に合わせる)
奨学金との違い・併用戦略を考える
「うちは奨学金を借りればいいから…」
確かに、それも1つの選択肢です。ただし、NISAによる準備と奨学金には大きな違いがあり、両者を正しく理解し、計画的に併用することで家計負担を軽減できます。
🧾 奨学金とNISAの違い
比較項目 | 奨学金 | 新NISA |
---|---|---|
資金の性質 | 借金(将来返済あり) | 自己資金(非課税で育てる) |
利子 | 無利子/有利子(種類により異なる) | 利益が非課税(増えた分もそのまま使える) |
審査・条件 | 所得や成績で制限あり | 制限なし(誰でも利用可能) |
精神的負担 | 返済が20年に及ぶ場合も | 準備しておけば返済不要で安心 |
活用タイミング | 子どもが受け取る | 親が計画的に準備・使える |
📌 奨学金は「未来の子どもへの負担」
📌 NISAは「親の今の努力で備える安心」
💡 奨学金とNISAの“いいとこ取り”戦略
おすすめは、「自己資金でまかなえる範囲はNISAで準備し、足りない分だけを奨学金に頼る」スタイルです。
項目 | 資金源 | メリット |
---|---|---|
入学金・初年度学費 | NISAで用意 | まとまった支出に即対応できる |
在学中の生活費 | 一部奨学金 | 分割受け取りで家計をサポート |
卒業後の返済負担 | 最小限に | 子どもが将来自由に生きやすくなる |
🧠 筆者のFP経験上、「子どもの奨学金返済に親が肩代わりする」ケースは意外と多く、事前準備が有効だと感じています。
まとめ|NISAは“子どもへの仕送り”を資産運用で実現するツール
「教育費をどう準備するか」は、すべての親にとって大きな課題です。
その答えのひとつが、新NISAを活用した“未来の仕送り”という発想です。
📌 本記事のまとめ
視点 | 内容 |
---|---|
🎯 教育費の山場 | 大学進学後に大きな支出が集中 |
🏦 NISAの強み | 積立の柔軟性+非課税+引き出しやすさ |
🧠 FP的視点 | 投資信託は「増やす」より「守って備える」運用に向いている |
📅 設計ポイント | 使う時期から逆算し、最低2〜3年の運用期間を確保 |
🤝 奨学金との併用 | 「借りすぎない」ための一手として効果的 |
✨「貯める」ではなく「仕組みで備える」時代へ
貯金だけでは追いつかない時代。
教育資金という“目的が明確なお金”だからこそ、制度と仕組みを使って備えることができます。
✨「貯める」ではなく「仕組みで備える」時代へ
貯金だけでは追いつかない時代。
教育資金という“目的が明確なお金”だからこそ、制度と仕組みを使って備えることができます。
🔑 NISAは、親から子への「未来への仕送り」。
無理なく、でも着実に、その準備を始めませんか?
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