子ども名義でNISAはできる?ジュニアNISA終了後の賢い運用法と教育資金の準備術

子どもの教育資金を効率よく準備するには、どうすればいいのか。かつて人気だった「ジュニアNISA」は2023年に終了しましたが、「では今、子ども名義で投資はできるの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ジュニアNISA終了後の制度的な背景とともに、子ども名義で資産を持たせる方法、さらに親がNISAを活用して教育費を準備するための最新戦略を解説します。

すでに当ブログでは、教育費の貯め方に関する以下の2つの記事を公開しています:

一方、今回の記事では「子ども名義での運用や資産移転」という視点から、より制度的・実践的なアプローチを取り、ジュニアNISAの代替策として何ができるのかを深掘りしていきます。

子ども名義でNISAは使える?制度の現状と注意点

👪「子どもの将来のために、早いうちから資産運用を始めてあげたい」

そんな思いから「子ども名義でNISAを始めたい」と考える親御さんも多いのではないでしょうか。

しかし、2023年をもってジュニアNISAは終了し、制度上の選択肢は大きく変わりました。ここでは「未成年がNISAで資産形成できるのか?」という視点から、現在の制度状況と注意点を整理します。

📉 ジュニアNISAは2023年で終了、その理由とは?

「ジュニアNISA」は2016年に始まった未成年向けの非課税投資制度で、年間80万円までの投資が非課税となるものでした。

✅ メリットは以下の通り:

  • 子ども名義での資産形成が可能
  • 教育費の贈与先として利用しやすい

⚠️ しかし、制度が終了した背景には以下のような課題がありました:

主な問題点内容
払い出し制限18歳までは原則引き出し不可で使い勝手が悪い
利用者の少なさ制度が一般に浸透せず利用率が伸び悩んだ
制度整理新NISAへの一本化のため制度終了へ

👉 2023年末で新規受付終了、2024年末までの投資分は非課税適用可というのが現状です。

🚫 新NISAでは子ども名義の口座は不可

2024年からスタートした新NISAでは、18歳未満の未成年は対象外。つまり、未成年が自分でNISA口座を開くことはできません。

🔍 ポイント整理:

  • 👤 口座開設には「成人(18歳以上)」が必要
  • 🧒 未成年の証券口座は開設できるが、新NISA口座は持てない
  • 📉 「親が代理で開設してあげる」は制度上NG

結論
現在、新NISAで「子ども名義」の非課税口座を作ることはできない

👨‍👩‍👧 親が代わりに運用することはできるのか?

「じゃあ、親が自分の口座で教育費を運用すればいいの?」というのは、多くの家庭が実際に選んでいる方法です。

💡 親がNISA口座で運用するメリット:

  • 子どものための資産を非課税で育てられる
  • 教育資金としての目的が明確なら運用プランが立てやすい
  • 将来、贈与などを通じて子どもにスムーズに資産を移せる

ただし注意点もあります。

⚠️ 注意すべきポイント:

  • 名義はあくまで「親」なので、贈与時には贈与税の対象になり得る
  • 資金使途が教育費であっても、課税関係を整理しておく必要がある

💬 ワンポイント解説:名義と実質所有の違い

💡 「名義が親でも、実質は子どもに使うお金だから大丈夫」では済まないケースもあります。

特に金額が大きくなってくると、税務調査での説明責任が生じることもあるため、後述する贈与制度や資金移転の戦略も併せて検討しましょう。

📍次のブロックでは
子ども名義での証券口座運用の選択肢や、実務上の制約・注意点を具体的に見ていきます。

“子ども名義の口座”で運用する選択肢とその注意点

👶「NISAは使えないと分かったけれど、それでも子ども名義で投資を始めたい」

そんなご家庭にとって、次に検討すべきは「未成年口座」や「贈与を活用した証券口座開設」です。

ここでは、新NISA以外で子どもに資産を持たせる方法と、制度上の注意点を具体的に解説します。

🧾 特定口座の開設は何歳から可能?

結論から言うと、0歳でも証券口座の開設は可能です。

証券会社によって運用ルールに若干の違いはありますが、以下のような形で「未成年口座」を開設できます。

📌 項目内容
開設可能年齢0歳から可能(親の同意・代理が必須)
開設できる口座種別一般口座・特定口座(源泉徴収あり/なし)
開設者子ども(名義人)本人だが、運用者は親が代理
非課税制度の適用不可(新NISA対象外)

🔍 親のNISAとは異なり、子ども名義の証券口座では利益に対して課税(約20%)されます

👨‍👧 親が運用を代行する形になるが制限も

未成年口座では、実際の資金管理・売買は親の代理操作になります。

ただし、形式上は「子ども名義の財産」となるため、以下の点に注意が必要です。

⚠️ 代表的な注意点:

  • 💸 出金や売却益の使途が「子ども以外の目的」と見なされると、贈与税や所得税の対象になるリスクあり
  • 🏦 銀行口座との連携やマイナンバーの登録など、親が事務手続きを担う必要あり
  • 🔁 定期的な「名義確認」や「投資目的の整合性」チェックが必要な証券会社もある

📍運用実態と資金の流れが「親の管理下」である場合、名義貸しに近い状態と解釈されることもあるため、慎重な判断が求められます。

💰 贈与税や金融庁のガイドラインにも注意

「じゃあ、親から子どもへの贈与として証券口座に資金を移せばいいのでは?」

という考え方もありますが、ここにも落とし穴があります。

📘 年間110万円の贈与までは非課税(暦年贈与)

  • 1年間(1月〜12月)で110万円以内の贈与なら贈与税はかかりません
  • ただし「名義預金」や「形式的な贈与」と判断されると、非課税にならないこともあります

🔍 金融庁・国税庁のガイドラインもチェック

  • 「子ども名義の資産が、親の意思で動いている場合は“親の財産”と見なす」との公式見解あり
  • 特に高校生や大学生以降でも収入がない子どもの名義で大きな資産運用をしていると、税務調査の対象になる可能性も

📝 まとめ:親が代理で運用する際の判断基準

チェック項目注意ポイント
名義は誰?子ども名義なら贈与の意図が明確に必要
運用資金の出所親の資金→子ども口座=贈与扱いになる可能性あり
利益の使い道教育費として使えば実質的に問題ないが、証拠が重要
利益の扱い収益は子どもの所得となり、税務申告が必要になることも

💬「子どものために使うお金」であっても、名義や税制を誤ると「課税対象」や「違法性のある贈与」に見なされることがあります。

次のブロックでは、親がNISAを使って教育費を準備する場合に、どんな投資方法があるかを具体的に見ていきましょう。

教育費をNISAで準備する3つの王道戦略

🎓 子ども名義のNISAは使えませんが、親のNISA口座を活用して教育資金を準備することは十分に可能です。

ここでは、教育資金の目的に応じて使える「NISAでの王道3戦略」をご紹介します。

目的や子どもの年齢に合わせて、最適な運用プランを描きましょう。

戦略①:つみたて投資枠で“計画的に”教育資金を積み上げる

💡「教育費を10年後に300万円準備したい」──そんなときには、つみたて投資枠の活用が王道です。

項目内容
対象制度新NISA・つみたて投資枠(年120万円まで)
投資対象長期分散型の低リスクファンドが中心
向いている人子どもがまだ小さく、時間的余裕がある家庭
メリットリスクを抑えながら教育資金を着実に形成できる

📌 例:
「月2万円 × 10年間」=約240万円(+運用益で300万円も見込める)
→ このように時間を味方にした積立戦略が有効です。

🧠 FPの視点から一言:

つみたて投資枠は“短期のリターン”を狙うものではありません。教育資金という明確な目的があるからこそ、暴落局面でも継続できる自信を持てる投資先を選ぶことが大切です。

🧩 戦略②:高配当ETF・債券型で“取り崩しやすさ”を重視する

👨‍🎓 中学〜高校進学前後の家庭や「5年以内に使う予定がある」場合は、成長投資枠で安定性のある資産を選ぶのも選択肢です。

比較項目高配当ETF債券ファンド
収益の性質配当収入安定した利回り
売却しなくても資金化できる?可能分配型なら可能
向いている人教育費の一部を“現金化しやすく”運用したい人

💰 毎年数万円の配当を得ながら、必要時にだけ一部売却することで資産寿命を伸ばせます。

🧠 FPの視点から一言:

例えば「VYM」や「HDV」といった米国高配当ETFは、年3〜4%の利回りが期待できます。ただし為替リスクもあるため、国内ETFとのバランス運用も検討しましょう。

📅 戦略③:出口戦略を見据えた“教育費の取り崩し計画”を立てる

📌 資産を育てるだけでなく、「いつ・どう取り崩すか?」を明確にしておくことも教育資金準備の要です。

🗂 取り崩し計画のチェックポイント:

  • ⏳ 使い始める時期(小学校?高校?大学?)
  • 📉 売却の順番(利益の出ている商品から or 安定資産から?)
  • 🏦 手数料・税金の確認(課税口座への移管が必要か?)

💬 例えば「大学入学の年に60万円を現金化する」など、事前に計画しておくことで感情に左右されない資金管理ができます。

🧠 FPの視点から一言:

教育費は人生三大支出のひとつ。取り崩しのタイミングで相場が下がっていても焦らないように、定期預金やジュニア口座への部分移動も視野に入れておきましょう。

🔚 ここまでで、親がNISAを活用して教育資金を準備するための3つの王道戦略をご紹介しました。

📍次のブロックでは、教育資金だけでなく「資産を贈る」という視点でのNISA活用法を深掘りします。

教育費だけじゃない!子どもに“資産を贈る”賢い設計

📤 教育資金を準備することに加え、親としては「将来的に子どもに資産を遺す」「金融教育の一環として資産管理を教える」といった目的を持つことも少なくありません。

ここでは、贈与を活用した資産移転の方法その賢いやり方を具体的にご紹介します。

💸 年間110万円の非課税贈与制度をどう活用する?

「暦年贈与」の非課税枠を使えば、税金をかけずに毎年一定額の資産を子どもに贈ることが可能です。

項目内容
年間非課税枠110万円(1人あたり)
贈与者親・祖父母など
受贈者子ども(未成年でも可)
注意点毎年“定期的に”同額贈与すると「連年贈与」と見なされる場合あり

💡 ポイントは「形式上の贈与ではなく、実質的に贈与と認められる証拠」を残すことです。
銀行振込記録、贈与契約書、通帳の管理などが重要になります。

🎁 教育資金贈与の一括非課税特例はどうなる?

かつて話題になった「教育資金の一括贈与の非課税制度」ですが、実はこの制度は2026年3月で終了予定です(※2025年6月時点)。

📘 制度概要(現時点):

  • 対象:30歳未満の子や孫に対し、教育目的での一括贈与
  • 非課税限度額:最大1,500万円(うち学校以外への支出は500万円まで)
  • 贈与者が死亡した場合、一部に相続税が課されるケースも

📍この制度の活用は「高額教育費(私立中学・留学など)」を想定している家庭向け。
資産に余裕がある場合は検討の価値がありますが、実務的にはハードルが高い制度である点も認識しておきましょう。

🧠 金融教育にもつながる“資産とのふれあい”

👦 実際に子どもに資産を持たせることで、「お金の価値」「投資の仕組み」「増える/減るの体験」などをリアルに学ばせる機会になります。

💬 FP的な視点から言えば、「資産を残すこと」だけでなく、「資産と向き合える力を育てること」もまた、親ができる最高の贈り物です。

🧒 たとえばこんな取り組みも:

  • 小学生のうちから「つみたて通帳」を親子でつける
  • 中学生〜高校生で「証券口座のしくみ」を一緒に学ぶ
  • 大学入学時に「教育費の残り」を自分で管理させる

📌 まとめ:教育費と資産移転の“ダブル戦略”を設計しよう

親の行動子どもへの効果
計画的な贈与税金リスクを回避しながら資産を移せる
金融教育の導入将来の自立とマネーリテラシー向上に貢献
資産運用を見せるお金とのつきあい方を身近に学べる環境づくり

📣 次はいよいよまとめです。
「ジュニアNISA終了後、親子でどう資産設計を進めるか?」を総括し、最適な行動へのヒントを提示します。

まとめ|ジュニアNISAのその先へ。親子で育てる資産設計

🔚 ジュニアNISAが終了し、「子ども名義での非課税投資」は一旦制度上の幕を閉じました。

しかし、制度が終わっても「子どものために資産を育てたい」という親の思いは変わりません。

今回の記事では、その思いに応えるために以下の視点から解説してきました。

🧭 本記事でわかったことまとめ

観点ポイント
制度の現状ジュニアNISAは終了、新NISAは未成年対象外
子ども名義での運用未成年口座の活用は可能だが注意点も多い
親のNISA活用法つみたて・高配当・取り崩し戦略の3本柱で設計
贈与・資産移転年間110万円の非課税枠や教育資金贈与制度を活用
金融教育資産を持たせるだけでなく、学ばせることも重要

📌 結論:「制度に頼らず、親子で考える資産設計」がカギ

たしかに、ジュニアNISAのような制度は便利でした。
でも、その終了をチャンスと捉え、**制度任せではなく“家庭の意志で設計する投資”**に切り替えることこそが、これからの時代に求められる視点です。

👪 子どもと一緒にお金の話をし、将来を見据えて行動する──
その積み重ねが、「教育費」と「人生を生き抜く金融力」の両方を育てることにつながるはずです。

✍️ 編集後記:FPライターとしての視点

私自身、子どもに資産を残すと同時に「資産とどう向き合うか」を教えることが、長期的には何よりも価値のある贈り物になると信じています。
投資は手段に過ぎません。大切なのは「想い」と「戦略」。
ジュニアNISAの終了後だからこそ、その2つが問われる時代が始まっています。

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