
- 「子どもの教育費、どうやって準備すればいい?」
- 「学費がかかる時期に備えてNISAで積立をしておきたいけれど、どれくらい貯めれば良いのか分からない…」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
進学費用は、中学・高校・大学と進むごとに支出額が大きくなりがちです。
しかし、貯蓄だけではインフレリスクや物価上昇に対応しきれない場合も多く、NISAを活用して効率的に資産形成を進める方法が求められています。
本記事では、以下のポイントを中心に解説していきます:
- ✅ 教育費の平均額と進学時期別の支出計画
- ✅ NISAを使った進学費用の積立シミュレーション
- ✅ つみたて枠・成長投資枠の効果的な活用方法
NISAを教育費の準備に取り入れることで、無理なく資産を増やしつつ、将来の進学費用を確保する方法を具体例で解説していきます。
教育費の現状と平均額|中学・高校・大学進学時の支出計画
教育費は子どもの成長に伴って段階的に増加する支出です。
特に中学・高校・大学進学のタイミングでは、まとまった資金が必要となるため、計画的な資産形成が求められます。
ここでは、進学時期ごとの教育費の平均額と具体的な積立計画を整理していきます。
教育費の現状|どれくらいかかる?
日本の家庭が支出する教育費の平均額は、公立と私立で大きく異なります。
以下のデータは、文部科学省の調査結果を基に算出した平均額です。
📊 進学時期別の教育費平均額(年間)
教育段階 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
小学校 | 約35万円 | 約150万円 |
中学校 | 約50万円 | 約130万円 |
高校 | 約70万円 | 約150万円 |
大学(年間授業料) | 約55万円 | 約120万円 |
✅ 進学時期ごとの合計額(6年間計算)
教育段階 | 公立合計 | 私立合計 |
---|---|---|
小学校〜中学校 | 約255万円 | 約840万円 |
中学校〜高校 | 約360万円 | 約860万円 |
高校〜大学 | 約375万円 | 約870万円 |
ポイント:
- 私立に進学する場合、公立の3倍近い費用が必要になる。
- 大学進学時には、入学金・授業料・生活費が一気にかかるため、事前の計画が重要。
NISAで進学費用を準備する基本戦略
教育費は長期的な積立が必要な一方で、進学時期ごとに使うタイミングが異なるため、積立計画を複数段階に分けることがポイントです。
📉 シミュレーション例①:中学進学のための積立プラン(5年間)
目的: 中学入学時の費用50万円を準備する
期間: 5年間
積立額: 月8,000円
年数 | 月額積立 | 利回り | 最終積立額 |
---|---|---|---|
1年目 | 8,000円 | 3.0% | 99,160円 |
2年目 | 8,000円 | 3.0% | 204,532円 |
3年目 | 8,000円 | 3.0% | 315,086円 |
4年目 | 8,000円 | 3.0% | 431,062円 |
5年目 | 8,000円 | 3.0% | 552,656円 |
✅ 結果:5年間で約55万円の資金を確保
→ 中学入学の費用に充当し、残額は次の高校進学費用として再投資。
📉 シミュレーション例②:高校進学のための積立プラン(3年間)
目的: 高校入学時の費用70万円を準備する
期間: 3年間
積立額: 月20,000円
年数 | 月額積立 | 利回り | 最終積立額 |
---|---|---|---|
1年目 | 20,000円 | 5.0% | 247,200円 |
2年目 | 20,000円 | 5.0% | 510,060円 |
3年目 | 20,000円 | 5.0% | 788,613円 |
✅ 結果:3年間で約79万円の資金を確保
→ 高校入学時の費用に充当し、残額は大学進学費用として再投資。
📉 シミュレーション例③:大学進学のための積立プラン(4年間)
目的: 大学進学時の費用120万円を準備する
期間: 4年間
積立額: 月25,000円
年数 | 月額積立 | 利回り | 最終積立額 |
---|---|---|---|
1年目 | 25,000円 | 6.0% | 310,500円 |
2年目 | 25,000円 | 6.0% | 642,630円 |
3年目 | 25,000円 | 6.0% | 995,588円 |
4年目 | 25,000円 | 6.0% | 1,371,263円 |
✅ 結果:4年間で約137万円の資金を確保
→ 大学進学費用120万円に充当し、残額は卒業後の生活費や奨学金返済に回すことも可能。
教育費の積立期間と商品選びのポイント
- 中学・高校:つみたて枠のインデックス型投信
- リスクを抑えつつ、教育費として確実に貯める
- 大学進学:成長投資枠の高配当ETFやバランス型ファンド
- 大学進学までの期間が長いため、リターンを狙える商品を選定
まとめ
- 教育費は進学時期ごとに必要額が異なるため、期間ごとに積立額と運用商品を調整するのがポイント。
- 中学・高校の教育費は、つみたて枠のインデックス型投信で安全運用。
- 大学進学費用は、成長投資枠でリターンを狙いつつ資金を確保。
- 進学費用を計画的に積み立てることで、教育費の負担を軽減しつつ、家計全体のバランスも保てる。
🔗 関連記事:
👉 子育て世代の新NISA活用法
→ 家計全体の教育費と生活費のバランスについても詳しく解説しています。
進学費用を貯めるためのNISA積立プラン|商品選びと資産分配例
進学費用の積立を効率よく行うためには、子どもの年齢や進学予定時期に応じて商品選びと資産分配を調整することがポイントです。
ここでは、具体的な積立プランと商品選定の例を示していきます。
NISAで教育費を貯める際の基本戦略
教育費の積立をNISAで行う場合、以下の2つの枠を使い分けるのが基本戦略です:
- つみたて枠:中学・高校進学費用の準備(安全運用)
- 成長投資枠:大学進学費用の準備(リターン重視)
積立プラン①:中学進学費用の準備(5年間の安全運用プラン)
目的: 5年後の中学進学費用50万円を準備
積立期間: 5年間
商品選定: インデックス型投信(国内株 or 全世界株)
月額積立額: 8,000円
📊 シミュレーション例:5年間の積立プラン(つみたて枠)
年数 | 月額積立 | 利回り | 最終積立額 |
---|---|---|---|
1年目 | 8,000円 | 3.0% | 99,160円 |
2年目 | 8,000円 | 3.0% | 204,532円 |
3年目 | 8,000円 | 3.0% | 315,086円 |
4年目 | 8,000円 | 3.0% | 431,062円 |
5年目 | 8,000円 | 3.0% | 552,656円 |
✅ 結果:5年間で約55万円の資金を確保
→ 中学進学費用の50万円を確保し、残額は高校進学費用に回すことも可能。
商品選定ポイント:
- ✅ 国内株インデックスファンド(TOPIX / 日経平均)
- 中期的な安定運用向き。
- リスクが少なく、資金を確実に貯めやすい。
- ✅ 全世界株インデックスファンド(eMAXIS Slim 全世界株式)
- 分散投資効果が高く、リスク分散しつつ運用可能。
積立プラン②:高校進学費用の準備(3年間の安定運用プラン)
目的: 3年後の高校進学費用70万円を準備
積立期間: 3年間
商品選定: 債券ETF(AGG)+バランス型ファンド
月額積立額: 20,000円
📉 シミュレーション例:3年間の積立プラン(成長投資枠)
年数 | 月額積立 | 利回り | 最終積立額 |
---|---|---|---|
1年目 | 20,000円 | 4.0% | 247,200円 |
2年目 | 20,000円 | 4.0% | 510,060円 |
3年目 | 20,000円 | 4.0% | 788,613円 |
✅ 結果:3年間で約79万円の資金を確保
→ 高校進学費用の70万円を確保し、残額は大学進学費用に充当可能。
商品選定ポイント:
- ✅ 米国債券ETF(AGG / BND)
- 価格変動が少なく、短期運用向き。
- 配当金を再投資して元本を増やせる。
- ✅ バランス型ファンド(株式50% / 債券50%)
- リスク分散型商品として、元本保全を重視した運用が可能。
積立プラン③:大学進学費用の準備(4年間の成長運用プラン)
目的: 4年後の大学進学費用120万円を準備
積立期間: 4年間
商品選定: 高配当ETF(HDV, SPYD)+グローバルリート
月額積立額: 25,000円
📉 シミュレーション例:4年間の積立プラン(成長投資枠)
年数 | 月額積立 | 利回り | 最終積立額 |
---|---|---|---|
1年目 | 25,000円 | 6.0% | 310,500円 |
2年目 | 25,000円 | 6.0% | 642,630円 |
3年目 | 25,000円 | 6.0% | 995,588円 |
4年目 | 25,000円 | 6.0% | 1,371,263円 |
✅ 結果:4年間で約137万円の資金を確保
→ 大学進学費用の120万円を確保し、残額は老後資金や生活費に回せる。
商品選定ポイント:
- ✅ 米国高配当ETF(HDV / SPYD)
- 定期的な配当収入を得ながら、資産の増加も狙う。
- 配当金は再投資 or 生活費の補填として活用可能。
- ✅ グローバルリート(REIT)
- 毎月分配型の不動産ファンドで、生活費補填にも利用できる。
まとめ
- 教育費の積立は、「中学」「高校」「大学」の進学時期ごとに目標額と運用期間を分けて計画するのがポイント。
- 中学・高校の教育費は、リスクを抑えたインデックス型投信や債券ETFで堅実に貯める。
- 大学進学費用は、リターンを狙った高配当ETFやREITで資産の増加を図る。
- 教育費の積立を進めながらも、余剰資金は老後資金の準備に回すことで、家計全体の資産形成が効率化できる。
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👉 新NISAで損したらどうする?初心者の不安を解消する損失対処ガイド
→ 進学費用が足りない場合の対応策も紹介しています。
進学費用を貯める際の注意点|再投資と資産分配のコツ
進学費用の積立は、教育費を確保するための重要なステップですが、途中で運用方法を見直したり、再投資を検討することでさらに効率的に資産形成を進めることができます。
ここでは、進学費用を貯める際の注意点と再投資のコツを解説していきます。
1. 元本割れのリスクを避けるための運用見直し
進学費用は、必ず必要となる支出であり、リスクを取って運用するのは避けたい資金です。
そのため、進学時期が近づくにつれ、リスクを抑えた運用商品に切り替えることがポイントです。
📉 運用期間別のリスク調整例
期間 | リスク許容度 | 運用商品例 | 配分割合 |
---|---|---|---|
5〜10年前 | 高 | 米国株ETF(VTI) | 60% |
3〜5年前 | 中 | インデックス型投信(全世界株) | 50% |
1〜3年前 | 低 | 債券ETF(AGG) | 40% |
1年未満 | 超低 | MMF・預金 | 100% |
ポイント:
- 中学・高校入学の2〜3年前には、株式投資を減らし、債券や預金で元本確保を優先する。
- 大学進学が近づいた場合は、元本を取り崩さないためにMMFや短期国債ETFで運用するのも有効。
2. 分配金・配当金の再投資 vs 生活費充当
進学費用を貯める際、配当金や分配金をどのように活用するかも重要なポイントです。
再投資することで資産を増やすこともできますが、生活費の補填や教育費の支払いに充てる選択肢も考えられます。
📊 再投資 vs 生活費充当のシミュレーション
年数 | 月額配当金 | 再投資額 | 生活費充当額 |
---|---|---|---|
1年目 | 10,000円 | 7,000円 | 3,000円 |
2年目 | 12,000円 | 8,000円 | 4,000円 |
3年目 | 15,000円 | 10,000円 | 5,000円 |
結果:
- 再投資を優先することで、3年間で月15,000円の配当収入を確保できる。
- 生活費に充当する部分を一定割合に抑え、残りは再投資で資産を増やす戦略が有効。
3. 学費支払い時の資産取り崩し計画
進学費用が必要になるタイミングでは、一部の資産を売却して現金化することも選択肢です。
しかし、売却タイミングを誤ると、相場の下落時に損失を出すリスクがあるため、計画的な取り崩しが求められます。
📉 学費支払い時の取り崩し計画例
- 中学入学時(5年後):元本の20%を売却
- 投資額:300万円 → 60万円を売却して中学入学費用に充当
- 高校入学時(3年後):元本の30%を売却
- 投資額:400万円 → 120万円を売却して高校入学費用に充当
- 大学入学時(1年後):元本の50%を売却
- 投資額:600万円 → 300万円を売却して大学入学費用に充当
ポイント:
- 教育費用の取り崩し時期をあらかじめ決めておくことで、相場の変動に振り回されにくくなる。
- 「分割売却」や「部分売却」を活用することで、急な相場下落時の損失リスクを分散できる。
4. 余剰資金の再投資計画
教育費の支払い後、残った資金をどのように再投資するかも考えておくと、老後資金や生活費の準備にスムーズに移行できます。
📉 再投資プラン例:進学費用支払い後の資金運用
商品 | 年利 | 投資額 | 年間収益 | 再投資額 |
---|---|---|---|---|
高配当ETF(HDV) | 5.0% | 300万円 | 15万円 | 10万円 |
債券ETF(AGG) | 3.5% | 150万円 | 5.25万円 | 3万円 |
グローバルリート | 6.0% | 200万円 | 12万円 | 8万円 |
ポイント:
- 教育費を支払った後も、高配当ETFやリートで安定収益を狙うことで、生活費の一部を補填。
- 債券ETFや定期預金で元本の安全性を確保しつつ、再投資分で資産増加も狙う。
✅ まとめ
- 進学費用を貯める際には、リスクを抑えた運用商品を選定し、元本の減少を防ぐことが重要。
- 分配金や配当金の再投資 vs 生活費充当のバランスを取りながら、資産の減少を抑える戦略を立てる。
- 教育費支払い後も残った資金を再投資に回すことで、老後資金や生活費の準備にもつなげられる。
- 相場の下落時に備えた「分割売却」や「部分売却」の計画も立てておくと、
急な出費にも対応しやすくなる。
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